後天性脳損傷の子どもを支援するシンポジウム

今日は桜木町はまぎんホール ヴィアマーレで開催された、子どもの高次脳機能障害について考えるシンポジウムに行ってきた。もともと全国展開されてきた支援モデル事業は18歳から65歳までの成人を対象としたものだったために、今まで手付かずだった子どもの高次脳機能障害について一堂に会して顔や膝を突き合わせて悩みを語り、ともに泣き笑う機会を作ったのが今回のイベント。
NPO法人脳外傷友の会はもちろんのこと、後天性脳損傷の子どもをもつ家族の会 アトムの会や高次脳機能障害の子どもを持つ家族の会 ハイリハキッズの会員が中心になって開催、第1部は当事者とその家族の発表。第2部は医療や教育を主とした小児高次脳機能障害の支援についてパネルディスカッション。


第1部で特に印象に残ったのは「生きているだけでも良いと前向きに考えようとしても、それだけじゃ乗り越えられない現実がある」という親の言葉。生きていれば素敵なことだってたくさんあるけれど、死ぬよりも生きる方がずっと辛い目に遭うのかもしれない。
多かった意見は高次脳機能障害に関する知識がなかったために支援が遅れたり、学校環境の整備を求めてもなかなか理解が得られない厳しい現実を目の当たりしたり、障害そのものが知られていないことが問題になってると感じた。だからこそ本当は高次脳機能障害を知らない人たちにもっと来てほしい。


第2部は子どもの高次脳機能障害に特徴について、受傷直後だけではなく発達に伴い変化すること、主な原因として急性脳炎・脳症、脳腫瘍などが挙げられること、低年齢であることなど。特に興味深かったのは神奈川リハビリテーションセンターの栗原まなさんの発表にあった、ADHD・広汎性発達障害・知的障害・学習障害などの支援教育を応用することで高次脳機能障害の子どもの支援ができるという考え方、これって理解を深めるきっかけにもなると思う。
当事者家族の発表と共通で話題になったのは、発達による変化や経過を連続的に評価することができないことについて。現状でそれができない理由は難しくないけれど、今すぐにでも改善の方向に持っていくなら、それぞれの医療機関の連携に共通の認識を掲げた積極的なやりとりが求められるってところかな。


思っていたより大規模で全国の家族会からシンポジウムに参加していたのには驚いた、このイベントが新たな支援活動のきっかけになればいいね。北海道や九州を始めとした遠いところからわざわざ横浜まで来たみなさん、イベントを開催するために奔走したみなさん、舞台裏で託児所などのボランティアをしてくれたみなさん、本当におつかれさまでした。