松井今朝子「そろそろ旅に」

夏休みを挟んだから読み終わるまでにかなり時間が掛かっちゃった、基本的に本を読む移動中なので。
タイトルは『そろそろ旅に』だけど、内容は江戸時代後期の人気作家、十返舎一九が武士から作者になって、山東京伝曲亭馬琴などの人物と出逢い、有名な『東海道中膝栗毛』などの滑稽本を書き終えた後までの一生を綴った作品。


登場人物それぞれのオリジナルな人柄の描写がこの小説の面白さ、作者それぞれのイメージが大きく変わるかもしれない。学校で名作の名前や作者を教わることはあっても、どんな人物がどんな風に書いたかなんて想像したことはあまりないだろうし。
当時の版元の事情や人付き合いの難しさを描いてくれたことも新鮮、でも何より面白いのは十返舎一九の奔放な生き方と、途中から気になり始めるひとつの謎が解き明かされるシーンかな。歴史や↑に挙がった作者などに興味がある方はぜひどうぞ。