崖の上のポニョ

ちょうど2週間前、yewtaの家から海老名まで行ってラーメン食べた後、レイトショーで映画観ようって話になったんだよね。初めは『スカイ・クロラ』を観るつもりだったんだけど、上映時間確認したらもう始まってそうだったから、わざわざ映画館来てまで途中から観たくないってことで急遽ポニョに変更。
まぁジブリだから1回くらい観てもいいよねってことで。いつも映画館で観るときはパンフレット買うんだけど、今回は買わなかった。


肝心の映画の話だけど、手書きにこだわって絵の枚数も多くしたからか、とにかく絵もアニメも綺麗だった。特に海の中のシーンは圧巻、魚や水母の泳ぐ姿は良かったなー。
今回は観る前にたけくまメモ読んでたから何となく知っていたけど、スタジオジブリの作品としてはちょっと異質な感じ。俺は普通に楽しめたけど、人によってはあまり面白くないって感想も不思議じゃないかな。

「可愛い金魚」であるはずのポニョなのですが、映画に出てくるおトキばあさんだけは、ポニョを一目見て「おお嫌だ、人面魚じゃないか!」と叫んで毛嫌いするのです。これは、多くの人が驚いている『ポニョ』の重大なポイントです。


ここで、観客がうっすらと感じていた違和感は最初のピークを迎えるのです。そんなこと言っちゃって本当にいいのかと。それはあたかも、ミッキーマウスの映画の中で別の登場人物(実写)が現れ、「このネズミのバケモノ!」と言うようなものではないでしょうか。

ディズニーでもそれ以外のアニメであっても、作品のストーリーにはたけくまさんの言う、「アニメ(マンガ)のウソ」が暗黙の了解としてあるわけだけど、今回のポニョは見事にそのルールを壊してる。おトキさんのセリフのような妙なリアルさを織り交ぜているのに、物語には最後までよくわからないままの謎が多過ぎる。
そもそもポニョ以外の海の生きものはみんな普通なのに、ポニョやその家族って姿かたちからしておかしい。初めから『ファインディング・ニモ』とか、ジブリなら『千と千尋の神隠し』みたいに、他のキャラクターも整合性があるオリジナルな世界観*1にすれば良かったんじゃないかって思う。


でも一緒に観たyewtaの感想を聞いて納得したのは、案外子どもは自然に楽しめるだろうなってこと。ポニョは理性じゃなくて感覚に訴える作品、それって当たり前のように聞こえるかもしれないけど、常識や現実に囚われて作品の世界観を疑ってしまった大人は、きっとポニョを楽しみきれない。
多分監督した宮崎駿自身は全然そんなこと考えてはいないだろうけど、でもこうやって考えるきっかけをくれたいろんな意味で面白い作品でした。

*1:物語の中心に絡まなくてもいいから、海の中にポニョみたいなキャラをもっと増やすとか、(これは作品のモチーフが「人魚姫」だからしょうがないのだけど)宗介がポニョを「人魚」よりもっとオリジナルな生きものとして表現するとか。