Dan Brown・越前敏弥 「ダ・ヴィンチ・コード」

ダ・ヴィンチ・コード』は今話題になっている歴史ミステリーです。

著者はダン・ブラウン(Dan Brown)、訳は越前敏弥。
上下巻の2巻構成で、ラングドン教授シリーズの第2作目です。
ちなみにシリーズ第1作目は『天使と悪魔』というタイトルです。

ルーブル美術館館長ジャック・ソニエールが館内で死体で発見され、
殺害当夜にソニエールと会う約束をしていたハーヴァード大宗教象徴学教授、
ロバート・ラングドンはフランス司法警察に捜査協力を求められる。


ソニエールの死体は、グランド・ギャラリーでダ・ヴィンチの最も有名な素描、<ウィトルウィウス的人体図>を模した形で横たわっており、その周りには、
複雑怪奇なダイイングメッセージが残されていた。


ソニエールの孫娘でもあり、現場に駆けつけたフランス司法警察暗号解読官、
ソフィー・ヌヴーは一目で祖父が自分だけに分かる暗号を残していることに気付く…


ソニエールの暗号は、思わぬ歴史の真実を導き出します。
多分ほとんどの人(特に日本人)は深く考えたことのない真実だと思います。
だから僕は余計に先が気になりました、こういう話が好きなので。

ただ残された暗号は超難解で(多分ほぼすべての読者は解けないと思います)、
ダ・ヴィンチに始まり、美術史や西洋史に名を連ねる多くの偉人達、宗教に神話、
象徴学や数学、暗号学などを含んだ、とてつもなくスケールの大きい暗号です。


ようするに膨大な量の蘊蓄が満載されているのですが、それだけじゃなく、
物語の構成もとても上手くて、予想を裏切る展開がいくつもあります。
ただ内容に興味の持てない人はすぐに飽きてしまうかもしれませんが…
ネタバレになるのもよくないので本編についてはこれくらいで。


僕が読み終わってあらためて思ったのは越前敏弥さんの訳がすばらしいなということ。
他に訳がすばらしいと思うのはハリー・ポッターシリーズの翻訳をしてる松岡佑子さん。
といっても原作を読んだわけでもないし、他の人の訳を読んだわけでもないですが、
原作の言語を日本語に翻訳しても、こうして感動できる文章にちゃんと翻訳できるのは
すごいことだなと。


ちなみに松岡さんは著者のJ.K.ローリングさんに直接ラブ・コールを送って、
日本版の翻訳の権利を頂いたそうです。
原作をとても読んで感動して、必ず自分が翻訳するんだ、と。

本当は原作が自分で読めたらいいのだけど、翻訳家の人達にはこれからも情緒豊かな、
作者の想いをしっかり伝えてくれる日本語を紡ぎ続けてほしいですね。


ダ・ヴィンチ・コード (上)

The Official Web Site of Bestselling Author Dan Brown(English)