流星の絆 第10話 最終回 「犯人はお前だ! 3兄妹の運命は… 涙と感動の最終回!」

戸神政行(柄本明)の告白の続きから始まった最終回、彼の無実を証明できる傘が出されると、表情を変えて自分を落ち着かせるように萩村(設楽統)のタバコを吸った柏原(三浦友和)。そしてまた丁寧に再現されてた柄の細かい傷や汚れから、事件夜の記憶を思い出す功一(二宮和也)。
横須賀署に戻るのを功一に呼び止められるも、その真っ直ぐな眼差しが訴える意図を汲んだ柏原は一緒に歩き出す。原作では歩きながら話すんだったかな、ドラマでは今まで数回登場したマンションの屋上が最後の舞台に。


キャストとしては泰輔の錦戸亮や静奈の戸田恵梨香も良かったのだけど、功一の二宮和也の鬼気迫った演技は雰囲気が出ていて一番好きだった。今まで「必ず見つけて殺してやる」と聴いていた柏原が選んだのはやっぱり自殺、でもここからがドラマは違った。
萩村に遺書を兼ねた告白の手紙を教えてすべての罪を被って死ぬ、原作じゃ柏原は功一に言いたいことを言って突然に命を絶つ衝撃的な展開だったけれど、これって一方的で独り善がりなのかもしれないって今は思える。殺したから死んで償うって発想は勝手にすべてを放棄しただけ、死ぬまでの刹那の苦しみよりも生きて蝕まれるような悩みの方がずっとしんどい。


やっと信頼できると思った大人が両親の仇だった、自分が殺した夫婦の子どもたちの近くにいたかった、そんな話は普通ありえないけどさ。洗い浚いにすべてを告白したなら死んで清算できるなんてそんな簡単な現実だってありはしない、そんなの死のうとする側の勝手な思い込みとただの逃避だ。
ずっとすっきりすることはないのだろうけど、わからないままの真実よりは受け容れがたい現実を知ることの方が幸せになれるのかもね。功一と泰輔は自らの詐欺も自首することですべて清算する、原作読んだときから納得できてないのだけど、静奈を守るために行成(要潤)と話し合い、お店で彼女に人工ダイヤをプレゼントしたところで「ダイヤと嘘とやさしいレストラン」も完結。


ドラマオリジナルで続けられた「幸せの黄色いポストイット」では、詐欺の主犯格としての2年の実刑を終えようとしていた功一は静奈へ宛てた葉書を送る、でもその手紙を手にして喜んでいるのはなぜかサギ(中島美嘉)。昔「アリアケ」があった場所を戸神親子に買い取ってもらったことでついに洋食屋の開店に漕ぎ着け、そこで「濡れ煎餅」こと泰輔に「眉なし」呼ばわりされて働くことになっていたサギ。
「アクセル」こと功一が大好きなサギは銀行に向かい、功一が帰ってきた「アリアケ」はなぜか大量の千円札でデコレーションされた状態に、レシピが再現できない泰輔に代わって兄弟でハヤシライスを作る。登場してからこのシナリオまでずっと意味不明な行動や発言ばかりだった中島美嘉だけど、彼女の演技は大好きだ(笑)


1クール10話で約10時間の映像にもなると、原作を意識しちゃって観ていてだれた部分もあった。でもクドカンやスタッフのオリジナルなアプローチが生きてドラマ単体としても完成した作品になったと思うし、最後に綺麗に終わってくれて大満足のドラマでした。